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タイガーマスク二世
エピソード・ガイド
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 ■第33話■果てしなき闘いの後に
あらすじ
作品データ
 演  出  佐々木正広 
 山内 重保 
 脚  本  山崎 晴哉 
 作画監督  篠田  章 
 美術監督  窪田 忠雄 
 初放映日  S57.1.18 
 世界の大巨人アンドレをもマットに沈めたストロングスの必殺エルボーアタックが、容赦なくタイガーを襲う。見る者の目を奪う物凄い筋肉で、固め技もまた超一流。キックを繰り出せば、タイガーの身体が上空高くまで蹴り上げられてしまう。苦悶の表情を浮かべ、タイガーの目がかすんでゆく。

 だが、タイガーの武器は不屈の闘志だ。ここでも危機を脱したタイガーは、ドロップキックで反撃に転じる。リング中央、チョップ、エルボー合戦で一歩も引かない両雄。

 不死身のタイガーに舌を巻きながら、ストロングスは更に攻撃をエスカレートさせ、カナディアン・バックブリーカーに決めたまま、何度となくタイガーの身体をマットに叩き付けた。あまりの威力に、みどりは正視していられず、会場の外へ走り出し、竜夫の無事を神に祈る。

 やがて、「逃げてはいけないんだわ。あの人の最後の戦いを……」と心を強くしたみどりは、会場へ戻る。タイガーは、どんなに厳しい攻めを受けようとも、そのたびに間一髪のところで切り返し、驚きの反撃を続けていた。

 リング中央での殴り合いに耐えかね、場外へと転落したのはストロングスの方だった。そんなストロングスに、タイガーはさっと手を差し伸べる。素直にその手を受け止めたストロングス。リング内に戻ったとき、ストロングスは静かに動きを止め、自らの敗北を認めた。

 突然のことに戸惑う観客たちの前で、ストロングスは自らマスクを脱いだ。その正体は、宇宙プロレス連盟の盟主アーマン・ハッサンその人だった。タイガー不屈の闘志が、「力こそ正義」と言い続けて来たハッサンの意地を打ち砕いた瞬間だ。ここから先は、ただの一人の男として心ゆくまでタイガーと戦いたいと、ハッサンは語る。その言葉を聞いて、タイガーもまた「自分の使命は終わった」と、自らの手でマスクを脱いだ。

 タイガーの正体は、日の出スポーツの記者、亜久竜夫。その事実に、子供たちやデスクは驚きを隠せない。そんな喧噪をよそに、死力を振り絞って無心で戦い続ける両雄。しかし、突然ハッサンは、胸を押さえてリングに崩れ落ちた。まさかの心臓麻痺で、ここに宇宙プロレス連盟の野望は終焉のときを迎えたのだ。時同じくして、遠い異国のハッサンの国では、ジーナたちが革命に成功していた。

 死闘を終えて会場を出た竜夫の胸に、雪の中で待っていたみどりが飛び込んだ。二人はそっと寄り添うようにして、雪の中に姿を消してゆく。


ストロングス

二世

ハッサン

竜夫

みどり

ルリ子

解説
 この最終回はいいねえ。素直に感動したよ。しかも、TM2という作品の魅力が、うまい具合に詰まっている。終わり良ければ全て良し。いやでもオリジナル・シリーズと比較されてしまう宿命を背負ったがゆえに、いろいろと目に付く点も多かったが、最終回でピシリとしめれば、シリーズ全体を見る目もまた違ってくるよね。

 最後の敵、ザ・ストロングス。この人がタイガーにとって脅威的な存在でなければ、ラストマッチも白けたものとなってしまう。だが、当時無敵の大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントを子供扱いして圧倒したという事実だけで、この人は史上最強という称号を与えられてしまったんだね。時間不足ゆえの苦肉の策かもしれないが、大胆に攻める演出は嫌いじゃない。

 序盤、タイガーはストロングスの猛攻に防戦一方。その痛々しい姿に、観客たちからは悲痛な叫びが漏れる。「もういい、タイガーマスク、ギブアップしてくれえ!」と。うむ! 忘れていたけど、タイガーは「日本への石油の輸出をストップさせるまじ」という大義名分のもとに、宇プ連に立ち向かっていたんだね。

 この点が、先代との大きな違い。確かに先代も、きっかけこそはちびっこハウス救済だったが、裏切り者のレッテルを張られた自身が、虎の穴のターゲットとして執拗な責めを受ける。逃げようにも逃げられない立場だったわけだ。

 だが、二世は違うね。頼まれてもいないのに、「日本プロレス乗っ取りを狙う黒い影の存在を感じ取った!」と言っては、帰国。無私無欲の精神がとっても強い。それでいて、そんな思い込みの深さをまったく感じさせずに、飄々としているわけだから、意外に懐、深いんではないか。

 シルバーのときも、ジーナのときも、命を狙われているのは全くの他人なのに、わざわざそこへ首を突っ込んでいったのは竜夫自身の意志だ。そんなピュアハートが、思い返せば二世の魅力と言えるのですね。

 最終回のひとつ前のエピソードあたりから、作品の雰囲気は妙に物哀しい装いを強めている。それまでは明るい色調が強かっただけに、ややもすれば唐突な印象もあった。いくらストロングスが脅威でも、それほどの悲壮感を感じるのは大袈裟だ。

 でも、この物哀しい演出があったお陰で、我々は竜夫がいかに「いい奴!」で、ピュアなハートの持ち主であるかを再認識することができた。彼と接することができるのもこれが最後、という惜別の念を強めることができたのであります。そういう意味で、切れ味ある演出だったと、私は納得してしまったのです。

 また、あの悲壮感は、どちらかといえば敵であるアーマン・ハッサンに向けられたものであったかもしれない。リング上でタイガーのピュアなオーラに肌で接したハッサンは、これまでのシルバー、ブッチャー、デビル・ピューマ、白魔ナイトがそうであったように、対戦相手のタイガーに惚れ込んでしまう。

 「不思議だ! 一度タイガーマスクと戦うと、反則技を使おうという気がしなくなる!」こんな素直な気持ちを、ハッサンは漏らしているのだ。最後の最後まで、どろどろの遺恨にまみれ、殺伐とした世界に終始したオリジナル・シリーズでは、決してみられなかった相互理解の清々しさがある。まさに、この一点にTM2の魅力が凝縮されていたといっても過言ではない。

 そして、潔くマスクを取り、ひとりのファイターとして、純粋な戦いをタイガーに挑んだハッサン。それに礼を返すがごとく、タイガーもマスクを脱ぐってところが、またニクいねえ。礼には礼をもって返す! これ、男の世界の仁義ってもんです。しびれるぅ!

 そんな相互理解が生まれたと思ったのも束の間、突然の心臓マヒであっけなく息を引き取ってしまったハッサン。なんだか人生の深みを感じますなあ。しかも、時同じくして、ハッサン国では、ジーナたちが打倒ハッサンの革命に成功するというオーバーラップ。人生のリアリティは、実はこのハッサンにこそ表現されていた!

 竜夫とみどりの関係にも、最後にしっかりと結末が用意されていたのは良かった。第1話から既に、竜夫に恋心を抱いていることがほのめかされていながら、純子という恋仇の存在に焼きもきしてきたみどりちゃん。その姿が、変な意味でTM2のスパイスになっていたのは確か。

 更には、竜夫とのイチャイチャぶりを隠そうともしないリタや、美人外国人ジーナが登場するたび、みどりは神経をとがらせていた。ヘンリー少佐の奥さん、ナンシーから国際電話があったときでさえ、竜夫との仲を疑っていたほどだもんね。

 それでまあ、当のみどりちゃんとは、気心の知れた同僚という態度を崩さなかった竜夫。そんな竜夫がタイガーマスク二世だと知ってしまったみどりちゃんは、急に相手が遠い存在に思えて、その気持ちもまた妙に切なく物哀しいものだったわけですねえ。

 そのまま竜夫とは進展せぬまま終わるかと思いきや、最後の最後で、雪のなかで一人待つみどりのもとへ、そっと近づいて優しい声をかけた竜夫君。死語だけど、アイアイ傘と来た! なんだかんだ言って、竜夫もみどりちゃんのことが好きだったんだねえ。良かったじゃん。安心感とともに、なんだか一夏の出来事が過ぎ去っていったかのような、妙な甘酸っぱさを噛みしめる私。

 思えば、ストロングスの猛攻にもだえ苦しむタイガーの姿を見るに耐えず、会場の外に走り出してしまったみどり。雪のなかに倒れ込み、「もし神があるなら、どうかタイガーマスクを……竜夫を助けてください!」と祈る。

 このシーンは、先代タイガーとタイガー・ザ・グレイトの最終決戦を見守りつつ、神に祈りを捧げたルリ子さんを彷佛とさせたのであります。そういった純な気持ちが十二分に表現されたあとだからこそ、アイアイ傘のラストシーンにも実感がこもっていたわけです。

 ルリ子さんと言えば――。前話に続き、ちびっこハウスのルリ子さんが登場したのも、見逃せないサービス・ポイント。リング上でマスクを脱ぎ、素顔をさらした竜夫を見て、驚きを隠せぬルリ子さんは「竜夫君!」と小さな叫び声を漏らした。ここに、我々の知らない彼らだけの時の流れがあったわけなんですねえ。これまた切ない。

 とまあ、「切ない」「物哀しい」「だけど落ち着くべきところに落ち着いた」最終回。ね、これはこれで、見応えがあると思うでしょう?

 
 

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